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法規制をする:化粧品・サプリメントの表示・消費税・クリアウエア表示法完全ガイド(禁断時販売・刑罰を含む)

海外メーカーが日本のEC市場へローカライズ参入する際、化粧品やサプリメントは複数の法令が重層的に適用されるため、適法性税の確保が最も無理の高い領域です。これらをクリアすることで行政処分や刑罰リスクを回避し、消費者からの収益を獲得できます。


1. 化粧品の法規制対応と違反時処分・刑罰


1.1 薬機法(医薬品医療機器等法)と広告規制

化粧品は「清潔・美化・魅力を増す」目的で使用されるものであり、効能効果を強調しすぎる表現は医薬部外品や医薬品の領域とみなされます。以下のような広告は薬機法第66条(誇大広告の禁止)に抵触するおそれがあります。

  • 未承認医薬品の広告

  • 医療行為を暗示する表現

  • 根拠のない効能主張

【罰則】

  • 行政処分:厚生労働大臣・都道府県知事による是正命令(薬機法72条の2)

  • 刑罰:違反者には2年以下の懲役または200万円以下の罰金(薬機法85条第4号)

  • 課徴金制度:誇大広告による販売には売上高の4.5%相当の課徴金(同法75条の2)

【事例】某OEMブランドが「シワを止める」と広告。薬機法違反により課徴金納付命令(売上高の4.5%)を受け、広告差替え・サイト非公開措置となった。


1.2 成分表示・日本語化義務

化粧品の容器や外箱には、成分・使用上の注意などの日本語表示が義務付けられています。

  • INCI名+日本語併記

  • パラベン・アルコール等の特定成分注意書き

  • 表示サイズや位置の遵守

【罰則】

  • 行政による是正命令(薬機法72条の2)

  • 命令に従わない場合、懲役・罰金の対象(最大200万円以下)

【事例】欧州ブランドC社が英語表示のまま販売開始。都道府県より是正命令を受け、日本語成分表示を追加後に報告・完了。



2. サプリメントの法規制対応と違反時処分・刑罰


2.1 食品表示法・健康増進法・機能性表示食品制度

サプリメントは「加工食品」に該当し、食品表示法および健康増進法が適用されます。

  • 栄養成分(たんぱく質・脂質・炭水化物等)の表示義務

  • 「機能性表示食品」として販売する場合、科学的根拠の届出が必要

【罰則】

  • 食品表示法違反:1年以下の懲役または200万円以下の罰金(同法19条)

  • 健康増進法の届出義務違反:50万円以下の過料(健康増進法70条)

【事例】健康食品メーカーE社が「脂肪肝が正常化」と広告。食品表示法違反で措置命令・書類送検を受け、表現を「健やかな毎日をサポート」に修正後、CVRが15%改善。


2.2 薬機法との境界と広告表現

サプリメントでも「治療」「予防」といった医薬品的な効果を謳うと薬機法違反となります。NG表現例:「生活習慣病を防ぐ」「ダイエット効果あり」OK表現例:「健康維持をサポート」「毎日の栄養補給に」

【罰則】

  • 改善命令・業務停止命令(薬機法72条の2)

  • 2年以下の懲役または200万円以下の罰金



3. 消費税(インボイス制度)対応と違反時リスク


3.1 適格請求書発行事業者登録と罰則

年間売上1,000万円を超える事業者は課税事業者となり、適格請求書(インボイス)の発行登録が推奨されます。未登録自体に罰則はありませんが、登録せずにインボイスを発行した場合は刑罰の対象です。

【罰則】

  • 不正なインボイス発行:1年以下の懲役または50万円以下の罰金(消費税法65条の4)

  • 過少申告・重加算税:国税通則法に基づき10~15%(過少申告加算税)、悪質時は40%(重加算税)

【事例】海外セラーF社が未登録のままAmazonで販売し出品停止。JCT登録後、取引再開とともに売上が安定。


3.2 軽減税率誤表記と過少申告加算税

食品扱いのサプリメントは軽減税率(8%)対象ですが、誤って10%で処理すると過誤納付扱いになります。本来の税額との差額に対して、国税通則法上の**過少申告加算税(5%前後)**が発生する場合があります。



4. 景品表示法対応と違反時の処分・刑罰


4.1 不当表示の禁止

景品表示法では、

  • 「優良誤認表示」:実際より品質が著しく良いと誤解させる表示

  • 「有利誤認表示」:価格や条件が実際より有利に見える表示 が禁止されています。

【罰則】

  • 行政処分:措置命令(表示差止・再発防止命令)

  • 課徴金命令:売上高の3%相当額(上限3億円)(景表法8条)

  • 刑事罰:虚偽表示行為に1年以下の懲役または100万円以下の罰金

【事例】通販業者が「通常10,000円→4,980円」と表示し、比較価格が架空と認定。課徴金1,915万円の納付命令を受けた。


4.2 景品類提供の上限

懸賞や景品の提供には法定上限があります。

  • 取引価額5,000円未満:最高額=取引価額の20倍(総額=売上予定額の2%以内)

  • 取引価額5,000円以上:最高額=10万円

これを超過した場合、措置命令および50万円以下の過料(景表法38条)が科されます。

【事例】高額コスメ購入者向けに無制限ポイントを提供していたH社が上限超過を指摘され、提供停止・措置命令を受けた。



5. ローカライズ・インフラ時代の実践フローとコンプライアンス体制

  • 法令マトリクス作成:商品カテゴリごとの適用法令を洗い出す

  • 表示・広告テンプレート整備:社内承認フローとチェックリストを確立

  • 税務対応体制構築:インボイス対応・JCT登録管理

  • 社内教育・審査:法務・マーケ・品質保証部門による定期研修

  • 外部専門家連携:薬事コンサルタント・弁護士によるレビュー

  • PDCAサイクル:行政ガイドラインや法改正動向のモニタリング

このように、**「法令の正確理解」と「現場の実務落とし込み」**が、海外ブランドが日本市場で長期的に信頼を築くための最重要ポイントです。


化粧品・サプリメントのローカライズ参入では、薬機法、食品表示法、消費税法、安全表示法の各法令を守ることがブランド信頼構築の基盤です。

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