top of page
Academic_640x160_en.png
Business_640x160_en.png

日本におけるBtoB-EC急成長の現状とビジネスチャンス

日本企業間取引(B2B-EC)市場は、2024年に514.4兆円と過去最大規模を記録し、前年比10.6%増という高成長を実現しました。本稿では、経済産業省が2025年8月に発表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査」結果をもとに、B2B-EC市場の現状、成長要因、海外メーカーへの示唆を整理します。



1. 市場規模と成長率

2022年からの推移を見ると、B2B-EC市場は**420.2兆円(2022年)→465.2兆円(2023年)→514.4兆円(2024年)**と拡大を続け、わずか2年間で約94兆円の増加を記録しました。年平均成長率は10%を超え、企業間取引におけるオンライン化の定着が鮮明となっています。



2. 分野別の動向

B2B-ECは、製造業・卸売業を中心に幅広い分野で拡大しています。特に、**法人向けデジタルサービス(SaaSやクラウド利用など)**では購買・受発注のデジタル化が急速に進み、業務プロセスの効率化とデータ活用が進展しています。一方で、建設・設備関連や中小事業者の分野では、デジタル化対応の地域差も残っており、支援策やインフラ整備が今後の成長を左右すると見られます。



3. EC化率の上昇

企業間取引全体に占めるEC取引の割合(EC化率)は、2023年度の40.0%から43.1%へ上昇し、3.1ポイントの増加を達成しました。受発注システムの標準化やAPI連携の進展が、従来型EDIからの移行を後押ししています。



4. 成長を支える主要要因


4.1 システム連携と自動化

EDIに代わるAPI連携やクラウド基盤の普及により、企業間の取引プロセスがより柔軟かつ自動化されています。製造・卸売業では、電子発注率の上昇が特に顕著です。


4.2 購買データの活用

企業は購買・受注データを分析し、需要予測や在庫最適化を実現。AIによる発注提案やダッシュボードの導入が広がっています。


4.3 サプライヤープラットフォームの台頭

部品調達モールや法人向けマーケットプレイスが多様化し、サプライヤー企業はより広範な顧客ネットワークにアクセスできるようになりました。


4.4 公的支援と制度整備

中小企業向けのデジタル化支援補助金や、取引システムの標準化施策が進められています。これにより、業界全体でのデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速しています。



5. 海外メーカーへの示唆


5.1 参入のメリット

日本のB2B-EC市場は514兆円規模と巨大であり、オンライン経由での受発注により営業コストやリードタイムの短縮が可能です。


5.2 戦略的アプローチ

  • ローカルパートナーとの提携:国内卸売・流通企業やモール運営者との連携で信頼性を確保。

  • API連携・技術対応:主要ERPや受発注システムとの互換性を検証。

  • データ分析サービスの提供:購買データの活用支援で付加価値を高める。


5.3 運用上の課題と対策

言語対応・商慣習・決済条件への適応が必要。現地物流企業やB2B決済代行サービスとの連携により、取引安定化を図れます。



6. 今後の展望

B2B-EC市場は今後、自動化・AI化・持続可能性の3領域で高度化が進むと見られます。

  • AIによる最適見積もりと在庫最適化

  • 企業間連携によるエコシステム形成

  • サステナブル商材・リユース部品の流通拡大

これらの動きにより、日本のB2B取引は「効率性」と「環境配慮」の両立を目指す次の段階に進んでいます。海外メーカーにとっても、テクノロジーとサステナビリティを軸にした戦略的参入機会が拡大していくでしょう。



参考資料

コメント


最新記事
アーカイブ

© JASEC 2017 

一般社団法人 日本イーコマース学会

Japan Academic Society for E-Commerce

埼玉県所沢市三ヶ島2-579-15 早稲田大学人間科学学術院 西村昭治研究室

info@jasec.or.jp  04(2947)6717

  • meta-70x70
  • X
  • Youtube
  • JASEC  一般社団法人 日本イーコマース学会:LinkedIn
bottom of page