日本EC市場のカテゴリー別規模と成長動向
- あゆみ 佐藤
- 3 日前
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EC市場は、消費者向け(BtoC)と企業間(BtoB)の両面で大規模かつ多様化が進展しており、特にカテゴリーごとの市場規模と成長率は、参入戦略を考える上で重要な指標となる(出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」)。
1. BtoC-ECの主要カテゴリー
2024年度のBtoC-EC市場規模は**26.1兆円(前年比 +5.1%)**であり、主要5カテゴリーの市場は以下の通り。
カテゴリー | 市場規模(兆円) | 成長率 | EC化率(%) | EC化率 前年比(pt) |
食品・飲料・酒類 | 3.12 | +6.36% | 4.52% | +0.27pt |
家電・AV機器・PC | 2.74 | +2.26% | 43.03% | +2.26pt |
衣類・雑貨 | 2.80 | +4.74% | 23.38% | +1.17pt |
生活雑貨・家具・インテリア | 2.56 | +3.62% | 32.58% | +1.52pt |
書籍・映像・音楽 | 1.87 | -0.84% | 56.45% | +0.80pt |
1.1 食品・飲料・酒類
3.12兆円・+6.36%と最も高い成長率を示したが、EC化率は約4.5%と低位。生鮮品管理・配送コストが課題である一方、コールドチェーン物流と定期購入モデルの普及が今後の成長要因となる。
1.2 家電・AV機器・PC
市場規模2.74兆円・EC化率43.0%と高いオンライン浸透度を維持。購入検討から配送までの顧客体験が標準化しており、レビュー・保証・付帯サービスが差別化ポイントとなる。
1.3 衣類・雑貨
市場規模2.80兆円・+4.74%。AR試着・返品対応など、購入前後の不安解消を目的としたUXの強化が成長を支える。
1.4 生活雑貨・家具・インテリア
2.56兆円・+3.62%。大型商品の配送・設置サポート、バーチャルルームシミュレーションの利用拡大が特徴。
1.5 書籍・映像・音楽
1.87兆円とやや縮小傾向だが、EC化率は**56.5%**へ上昇。電子書籍・動画配信・音楽ストリーミングが購買シフトを強化。
2. サービス系・デジタル系カテゴリー
2.1 サービス系
サービス系ECは8.2兆円(+9.43%)と高成長。旅行予約、飲食デリバリー、チケット、金融、理美容などオンライン予約・事前決済型の利用が定着した。
2.2 デジタル系
デジタル系市場は横ばい推移。オンラインゲームは成熟領域となりつつある一方、動画・音楽配信はサブスクリプション型サービスを中心に拡大している。
3. CtoC-EC市場
CtoC-EC市場は**2.53兆円(+1.82%)**と安定成長。フリマアプリ・中古品売買プラットフォームが主役となり、評価制度・安全取引システムの整備が信頼形成を支えている。
4. BtoB-ECの動向
BtoB-EC市場全体は**514.4兆円(+10.6%)**と大規模な成長を維持。業務システム連携、オンライン購買・受発注の標準化、サプライチェーンの可視化が進んでいる。特に、SaaS・クラウド型購買管理・ERP連携のニーズが拡大している。
5. カテゴリー別成長要因の整理
物流:コールドチェーン/大型家具設置/定期配送が浸透
体験:AR試着/バーチャルルーム/ライブコマースが普及
決済:クレジット・QR・後払い・複数手段選択が当たり前に
マーケティング:レコメンド、UGC、インフルエンサー活用が一般化
定期購入:食品・化粧品・日用品でLTV向上に寄与
支援施策:中小事業者向けEC化支援・越境EC支援が継続
6. 海外メーカーへの示唆
高EC化率・高成長領域に優先参入
物流・決済・マーケティングのローカルパートナー活用
定期購入・設置サポート・品質保証など日本仕様対応
AR・AI・データ分析による体験価値強化
越境EC → 国内ECへの段階的スケール戦略
7. 展望
今後は、サステナブル商材、リユース流通、AIを活用したパーソナライズ、ライブコマース、メタバース試着などが新たな成長ドライバーとなる。各カテゴリーの成長フェーズを正確に捉え、強みと市場需要が一致する領域へ集中投資することが、持続的な事業拡大につながる。




























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