top of page
Academic_640x160_en.png
Business_640x160_en.png

実店舗とECの連携でリピーターを獲得:多慶屋の戦略~多慶屋の実店舗×越境EC連携戦略~

更新日:7月31日

1. 事業背景と市場環境

多慶屋(東京都台東区御徒町)は1947年創業の老舗ディスカウントストアである。2025年現在、実店舗への年間訪日外国人客数は約43万人。この数値は、免税件数を基にした推計値であり、訪問者全体の数を反映している。同社は「実店舗を起点としたリピーター育成モデル」に注力し、越境ECプラットフォームとしてBuyee(Yahoo!ショッピング連携)や自社サイトを展開している。

主要ターゲット:

  • 中国(推定売上構成比約55%)

  • 東南アジア諸国(約25%)

  • 欧米(約20%)

主力商品:

  • 美白化粧品(客単価3,000〜4,000円)

  • 炊飯器(平均価格5万円)

  • セラミック包丁(1.2万円)

2. 戦略の核心要素

2-1 オフライン→オンライン導線設計

「手ぶら帰国→継続購入」モデル施策:

施策

内容

効果

QRコードチラシ

多言語対応のチラシ配布

ECアクセス率向上(推定)

レシート連動

購入商品にEC再購入用クーポンを付与

リピート率向上の傾向

多言語POP

店頭に6言語対応のEC案内掲示

滞留時間が若干増加

決済手段としては、アリペイを2015年12月に国内でもいち早く導入。その後WeChat Payや銀聯カードにも対応し、中国人客の利便性向上に寄与している。

2-2 プラットフォーム戦略

Buyee導入によるメリット:

  • 月額固定費5万円で国際配送・通関代行

  • 自動翻訳による商品情報多言語化

  • 在庫連動による効率的運用

ただし、AI翻訳精度98.7%や商品登録時間の短縮(3時間→15分)といった具体数値は社内資料に基づくと考えられ、外部での検証は困難である。

2-3 データドリブン商品開発

同社は独自の購買データを用いて「3層商品戦略」を展開:

商品例

売上比率

施策

鉄板

炊飯器・化粧品

60%

店頭でのデモ連動

成長

和菓子・薬剤

25%

SNS連動キャンペーン

テスト

アニメグッズ

15%

期間限定POP

AI需要予測による仕入精度向上(83%→92%)も言及されているが、外部資料での裏付けはない。

3. 学会的考察

3-1 行動経済学的効果

「体験の鮮明さ」理論による店舗体験強化:

  • 試食後のEC購入率や実機デモ時のEC閲覧数増加といった効果が社内で確認されている模様。

  • 平均EC購入日数14日(他社平均28日)も社内データとみられる。

3-2 文化越境戦略

「日本的合理性」:

  • 市場価格の70-80%の価格設定

  • JIS製品比率89%

  • 購入後90日間の相談窓口

これらを「おもてなしEC」として動画化し、中国での再生数120万回を記録したとされる。

3-3 課題と対応

  • 模倣品対策:ロゴ入りパッケージで偽造対策

  • 配送コスト:DHLとボリュームディスカウント契約(1kgあたり380円→320円)

  • 文化摩擦:ハラル認証商品を2025年6月に導入予定

4. 産業への示唆

多慶屋モデルから導かれる「越境EC成功5原則」:

原則

具体策

意義

体験の連続性

オフライン→オンライン導線

認知心理学の応用

決済最適化

中国系決済の導入

行動経済学的示唆

データ統合

POSとEC在庫の統合

業務効率化の一助

文化的再解釈

日本的価値をわかりやすくパッケージ化

異文化理解の推進

リスク分散

複数チャネル運営

経営安定性の確保

5. 将来展望

  • AR仮想店舗の構築

  • 日本食品の定期便サービス(月額3,000円〜)

  • ブロックチェーン認証導入

本事例は「実店舗資産のデジタル転換」「文化資産の汎用化」という2点で、今後の越境EC標準モデルとなる可能性を秘めている。

コメント


最新記事
アーカイブ

© JASEC 2017 

一般社団法人 日本イーコマース学会

Japan Academic Society for E-Commerce

埼玉県所沢市三ヶ島2-579-15 早稲田大学人間科学学術院 西村昭治研究室

info@jasec.or.jp  04(2947)6717

  • meta-70x70
  • X
  • Youtube
  • JASEC  一般社団法人 日本イーコマース学会:LinkedIn
bottom of page