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サステナビリティとESG経営が牽引するサステナブルECの最前線

1. サステナブルEC市場の成長とトレンド

2025年、日本のサステナビリティ・ESG関連サービス市場は前年比15.6%増の2,735億円に達する見通しです。2029年には4,962億円まで拡大し、2024〜2029年のCAGR(年平均成長率)は16.0%と高水準が予測されています。

楽天が展開する「EARTH MALL with Rakuten」では、約12万点のサステナブル商品を取り扱っており、2020年から2021年にかけて取扱高が約4.1倍、ページビューが約4.8倍に増加。2022年には前年比211%の取扱高増となり、エシカル消費への関心の高まりを裏付けています。

Yahoo!ショッピングやAmazon Japanでも、「エコ」「サステナブル」などのフィルター機能や商品ラベル表示が導入されており、Yahoo!では「グリーンショッピングデー」などの取り組みも始まっています。

2. ESG経営に基づくサステナブルEC事例

2-1. フェリシモ

フェリシモのブランド「クラソ」では、オーガニックコットンや天然染料を活用したサステナブルなアパレルを展開。「One Earth Project」を通じて、売上の一部を環境保全に寄付し、2024年時点で累計6,000万円以上の支援を行っています。

社内におけるESG施策も徹底しており、

  • 国内物流の再生可能エネルギー100%化

  • 包装資材の50%以上削減

  • サステナビリティレポートの継続的開示

などを実施しています。

2-2. 無印良品(良品計画)

無印良品は「資源循環プラットフォーム」を構築し、使用済み衣料の回収と再利用を推進。2025年時点で年間1,200トン以上を回収し、90%以上を寄付や再資源化しています。

また、ECサイトの商品ページでは「環境ラベル表示」により、CO₂排出量や再生素材の使用率、生分解性の有無などを明記しています。

2-3. LUSH Japan

LUSHの「ネイキッドプロダクト」では、従来商品と比較して包装材を60%以上削減。さらに国産原料の使用や、サプライチェーンの透明化(ブロックチェーン的なトレーサビリティ)にも取り組んでいます。

NGOとの連携により、海洋プラスチックの回収や生物多様性保全の活動も行い、ESGの取り組みを強化しています。

3. サステナブルECを支える技術革新

  • AIによる需要予測:過剰生産を抑制し、物流効率を最適化

  • ブロックチェーン:フェアトレードやオーガニック認証商品の供給元を可視化

  • カーボンフットプリント表示:商品購入前に環境負荷を確認可能

  • 3D試着技術:返品率を低減し、アパレルECの廃棄ロスを削減

4. ESG情報開示とデータの透明性

近年、主要なECプラットフォームでは、出店企業にESGデータの提出を求める動きが進んでいます。例として:

企業名

開示フォーマット

主な指標

ZOZOTOWN

商品ごとのCO₂排出量

カーボンオフセット提携内容など

楽天

外部監査レポート

水使用量、梱包資材使用量など

Amazon Japan

製品インパクトラベル(試験運用)

環境・倫理調達情報など

こうした開示は、ESGに敏感な消費者や機関投資家からの信頼を高める要因になります。

5. 課題と今後の展望

  • 第三者機関による信頼性の高いESG認証の整備

  • サステナブル調達と価格競争力の両立

  • EUのCBAM(炭素国境調整メカニズム)など国際基準への対応

今後、サステナブルECは「エシカル消費」から「当たり前の選択」へと進化していくと予測され、産官学の連携がますます重要になります。

6. まとめ

サステナビリティとESG経営に支えられたサステナブルECは、もはや一部の取り組みではなく、メインストリームの潮流です。ESGデータの開示、トレーサブルなサプライチェーン、消費者体験の向上に積極的な企業こそが、次世代のデジタルコマースを牽引していく存在となるでしょう。

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