オムニチャネルで売上10倍:ひよこカンパニーのリゾート連携EC
- 20121007mail
- 7月2日
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有限会社ひよこカンパニーが運営する「大江ノ郷自然牧場」のオムニチャネル戦略は、日本の食品ECおよびリゾート業界において、オンラインとオフラインの融合による売上拡大の成功事例として注目されています。以下、学会委員の視点も交え、具体的な事例や数字をもとに解説します。
1. 事業背景と成長の軌跡
ひよこカンパニーは1994年、鳥取県で平飼い養鶏場を創業し、卵の通信販売を開始。2008年にはスイーツ専門店「ココガーデン」を開業、以降、直営店や飲食店、体験型施設を順次展開し、2019年に宿泊施設も加えた複合リゾート「大江ノ郷自然牧場」が完成しました。
現在、年間来場者数は36万人以上にのぼり、地域の人気観光スポットとなっています。
2. オムニチャネルの仕組みと導入効果
2-1 オムニチャネルの導入
2021年4月、同社はECプラットフォーム「futureshop」のCMS「commerce creator」および「futureshop omni-channel」を導入。実店舗とECの会員情報やポイントの一元管理が可能となりました。
また、公式アプリは2021年5月25日にリリースされ、ポイント付与、プッシュ通知、施設連携機能などを備え、顧客接点を強化しています。
2-2 導入後の成果
EC売上高は5年間で10倍に拡大(公式発表・業界記事に基づく)
会員数はリニューアル前比5倍以上に増加、オムニチャネル開始から2年で急増
リゾート来訪者のEC再購入、EC経由の施設利用といった「循環購買モデル」が形成
顧客情報を統合することで、パーソナライズされたマーケティングが可能に
3. 成功の要因と戦略
3-1 リアルとECのシームレスな連携
施設体験で得た感動を、帰宅後にECで再購入可能とする導線を設計。さらに、アプリを通じたポイント提供や情報通知で、接点を多様化しています。
3-2 ブランドの世界観と商品開発
鳥取の自然や農の理念をコンテンツ化し、ECでもブランド価値を共有
地元食材や無添加原料を用いたスイーツ・加工食品を開発し、季節限定品なども積極展開
3-3 システム最適化と顧客管理
会員情報・ポイントの統合により、顧客一人ひとりの購買傾向を把握
定期購入・CRM機能の活用で、効率的な販促を実現
4. 学会委員による評価と展望
4-1 顧客ロイヤルティの向上
オムニチャネル戦略が単なる売上向上にとどまらず、顧客のファン化やブランド共感を高めることを実証しています。
4-2 データ活用による個別対応
行動データをもとにパーソナライズしたアプローチが可能になり、顧客満足と売上の両立を実現しています。
4-3 今後の展開
AI活用による分析強化やグローバル展開の構想も進行中。加えて、サステナビリティや地域連携にも注力し、持続可能なビジネスモデルの確立を目指しています。
5. まとめ
大江ノ郷自然牧場の事例は、オムニチャネルによりEC売上を5年で10倍に伸ばし、顧客との関係性を深化させた先進的モデルです。実店舗とデジタルの融合、理念を反映した商品開発、データ活用の三本柱により、今後も成長が期待される注目企業です。
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