日本EC最新事例2025:TORAJI
- あゆみ 佐藤
- 2 日前
- 読了時間: 4分
TORAJI:EC × 実店舗 × アプリを統合した「トラジ経済圏」構築とOMO成功事例
1. トラジ経済圏とは何か
TORAJIは全国に70店舗以上を展開する焼肉ブランドであり、コロナ禍を契機に非接触需要・宅食需要の高まりに対応するため、EC事業を急速に強化しました。さらに、実店舗・公式アプリ・ECサイトをデータ基盤で統合させた独自の「トラジ経済圏」 の構築を推進しました。
この経済圏の本質は、
共通ID・共通ポイント
オンライン(EC)とオフライン(店舗)を横断した顧客データ統合
アプリを軸にしたCRM強化
により、どのチャネルを利用しても一貫したブランド体験を提供できる点にあります。
2. ECと実店舗の連携により実現した顧客体験の革新
以前は、実店舗とEC間で、
顧客情報
ポイント制度
購入履歴
が分断されており、OMO施策を阻む大きな課題となっていました。
統合後に実現した主な機能は以下の通りです。
2.1 ポイント・顧客IDの共通化
EC/店舗/アプリのポイントが完全に統合
顧客IDと購入履歴の一元管理により、データドリブンなCRMを実行可能に
2.2 O2O(Online to Offline)体験の充実
EC注文商品の店舗受取
アプリ経由で店舗予約・来店促進
店舗ユーザーのEC誘導、ECユーザーのリアル店舗誘導という双方向の送客モデル
2.3 デジタル販促による新規層開拓
ギフト商品や定期商品、季節キャンペーンをECで展開
店舗来店者にアプリを通じてECをレコメンド
従来リーチできなかった層にもブランド接点を広げ、顧客基盤の拡大に成功しました。
3. オムニチャネル戦略とブランド体験の一貫性
TORAJIの戦略は、単なる販促やポイント施策に依存せず、「ブランドらしさを軸にした体験価値」の強化 に重点を置いています。
重点方針:
「本物の焼肉」「特別感」「上質な体験」を一貫して提供
値引きよりもブランド体験・世界観を重視
ECでもリアル店舗と同等の品質・メッセージを表現
具体施策:
店舗同様のメニュー説明やこだわりの可視化
店舗限定商品のEC先行販売
誕生日・記念日に合わせたパーソナライズメッセージ
ブランドストーリーを軸にしたファンコミュニティ形成
結果として、高ロイヤルティ層・ファン層の獲得に成功しています。
4. 実績を示す具体的な数値
実際のデータから、OMO施策の効果が明確に示されています。
4.1 会員・ポイント連携による改善
既存会員の リピート購入率が20%増加
店舗来店回数が 1.3倍に向上
EC新規顧客の 実店舗誘導率15%以上
店舗顧客の EC誘導率12%以上
4.2 アプリ会員の急増
アプリ会員数が年間 2.1倍
アプリ情報閲覧率は 46%超
4.3 商品カテゴリ別の売上向上
定期ギフト商品の売上が前年比 132%増
店舗受取サービス導入後、EC売上は 1.2倍に増加、来店客数も上昇
これらは、単なるデジタル化ではなく、ブランド価値の理解促進と世界観体験の向上が売上に直結していることを示す成果です。
5. デジタルマーケティング/CRMの高度化
TORAJIは顧客データの統合分析を基盤に、次のような高度CRMを実践しています。
既存客・誕生日客向けの特別クーポン
SNS・オウンドメディア・ECのコンテンツ統合
LINE・メールなど複数チャネルでの継続的コミュニケーション
UGC・レビューを活用した信頼性強化
これにより、来店・購入・閲覧データを横断的に活用した“継続接点”が強化されています。
6. システム基盤:W2リピートの導入
ECシステムには W2リピート を採用し、
ギフト・定期・キャンペーン等の多様な商品展開
CRM・アプリとの顧客情報統合
ポイント・ID・履歴の連携
を実現。
OMOを支える基盤として、DX推進の中心的役割を担っています。
7. 「価格競争に頼らないブランド価値設計」
TORAJIは外食業界の中でも珍しく、短期的値引きに依存せず、体験価値で勝負するモデルを築いています。
「ブランド体験を磨く」=長期的なLTV(顧客生涯価値)向上
高品質焼肉 × 高級感 × ストーリー設計
デジタルとリアルの両方で統一世界観を提示
これは飲食業のブランディングにおいて重要な示唆を持つアプローチです。
8. 業界・社会へのインパクト
TORAJIのOMO成功は、飲食業にとどまらず、
OMOモデルのロールモデル
飲食 × EC × アプリ統合の実証例
日本型「オンライン×オフライン融合」モデルの強化
として高く評価されています。
特に、ECなのに“体験価値”を中心に据えた設計は、多くのサービス業が参考にすべきポイントです。
総括
TORAJIの「トラジ経済圏」は、EC・実店舗・アプリを単につなぐのではなく、“ブランド体験を核にした一体化” を実現したOMO成功事例です。
共通ポイント・共通IDによるデータ統合
アプリを軸にした相互送客モデル
ブランド体験に一貫したUI/UX設計
明確な数値成果(リピート増・売上増・来店増)
CRM・デジタルマーケティングの高度化
これらを総合的に組み合わせることで、TORAJIは「価格競争からの脱却」と「顧客体験価値の最大化」を両立しています。
飲食・サービス業における今後のOMO戦略のロールモデルとして、非常に参考性の高い事例です。




























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