日本EC最新事例2025:BS日本
- あゆみ 佐藤
- 2 日前
- 読了時間: 5分
株式会社BS日本:テレビ通販 × EC統合で業務工数90%削減を実現したDX推進事例
1. 事業背景と初期課題の認識
1.1 BS日本の事業とEC事業の位置づけ
株式会社BS日本は、放送事業を主軸としながら、自社通販番組「BS日テレSHOP」を展開しています。当初はアニメ・キャラクターグッズなど独自性の高いアイテムが中心でしたが、近年は食品・生活雑貨など一般商材へと販売領域を広げています。
同社の顧客層はテレビ視聴者比率に連動し、他社ECに比べて高齢ユーザー比率が極めて高いという特徴があります。そのため、UI・UXを「高齢層でも迷わず使える設計」にすることが、重要な経営課題でした。
1.2 初期のECシステムで抱えていた課題
テレビ放送時は注文電話が集中し、30分の受付時間内に受け切れないケースも多く、“受け皿”としてECを併用する必要がありました。しかし前ECカートシステムは以下の制約を抱えていました。
① 運用の柔軟性の欠如
キャンペーン・クーポン・ポイント施策が十分に実施できない
売上最大化のためのマーケティング運用が困難
② UI・UXが高齢ユーザーに最適化されていない
商品が探しにくい
操作方法が分かりにくく、問い合わせや注文ミスが増加
ECで解決すべき問題が返って負担になっていた
③ オンラインとオフラインの情報分断
テレビ通販(電話注文)とECが完全に別システム
在庫管理・出荷数調整をExcelで手動管理
テレビ放送直後は在庫調整ミスが続出
受注処理が煩雑で業務負荷が限界
特に「情報分断」「在庫管理の混乱」は深刻で、EC事業伸長の妨げとなっていました。
2. ECカートシステム刷新と「W2 Unified / W2 Repeat」の採用
こうした課題を踏まえ、BS日本はECシステムの全面リニューアルを決断。採用したのは W2 Unified(現 W2 Repeat) であり、これにより大幅なシステム統合が実現しました。
2.1 オンライン・オフライン受注の一元管理
刷新の最大成果は、電話注文(テレビ放送分)とEC注文を同一システムで管理できるようになったことです。
テレビ放送直後の電話注文とEC注文を一括管理
両チャネルの在庫連携をリアルタイム自動同期
手動のExcel調整作業をほぼゼロに
結果として、放送枠の入電ラッシュ時でも在庫誤差が発生しない安定運用が実現しました。
2.2 高齢ユーザーに合わせたUI・UX最適化
ユーザー分析をもとに、操作しやすい構造に再設計。
放送直後に来訪するユーザーのため、**「最新放送商品の優先表示」**を実装
高齢層に人気のジュエリーカテゴリをヘッダー上位に配置
文字サイズ・ボタンサイズ・配色を高齢層向けに最適化
これにより、問い合わせ件数が大幅に減少し、購入完了率が向上しました。
2.3 マーケティング機能の拡張
新システムのマーケティング機能により、以下の施策が容易に実施可能に。
キャンペーン・セールの自動化
クーポン配布・ポイント施策の高度化
顧客属性に基づくパーソナライズ配信
従来は不可能だった施策が、運用負荷なく実現できるようになりました。
3. 具体的成果:業務工数を“1/10”に削減
3.1 業務工数 90%削減のメカニズム
以下の業務がデジタル化によって大幅に圧縮されました。
業務項目 | 従来 | 新システム | 削減率 |
在庫管理 | Excel手動管理 | 自動連携 | 約60〜70% |
データ入力 | システム間の手作業 | 自動連携 | 約80〜90% |
問い合わせ対応 | UI不備で増加 | UI改善で大幅減 | 約40〜50% |
システム管理 | 複数システム | 一元化 | 約30% |
テレビ放送のピーク時に発生していた“緊急在庫調整”もなくなり、事業全体の安定性が劇的に向上しました。
3.2 売上向上への寄与
ECは業務効率化だけでなく、売上にも貢献しています。
出荷数 1.3倍増(在庫連携とUI改善が要因)
EC化率向上により、電話中心の顧客がEC利用へ移行
欲しい商品の発見性向上で購入完了率が改善
効率化と売上拡大の両立が実現しました。
3.3 運用負荷の軽減
担当者の負担を大きく軽減した要因は以下の通りです。
入電ラッシュ時の在庫修正が不要
注文ミス/出荷ミスが激減
オペレーター間の情報共有が容易に
業務品質が向上し、トラブル発生率も大きく低下しました。
4. システム統合の技術基盤
4.1 W2Repeatのアーキテクチャ
統合DBで電話注文・EC注文を集中管理
在庫シンクロAPIによるリアルタイム同期
受注〜出荷〜配送のワークフロー自動化
4.2 従来システムとの決定的な違い
旧システム:
受注管理とECカートが別々
人手によるデータ突合作業が必須
新システム:
1つのプラットフォームですべて完結
手動作業がほぼゼロへ
5. 高齢ユーザーのためのUI・UX戦略
BS日本が最重視したのは「高齢層でも迷わない設計」。
シンプルなナビゲーション
大きな文字・高コントラスト・見やすい配色
スマホでも押しやすい大きめボタン
放送商品を最上段に優先表示
これにより、ユーザー導線は圧倒的に改善し、問い合わせ件数と離脱率が減少しました。
6. 業界への示唆とベストプラクティス
BS日本の取り組みは、テレビショッピング業界だけでなく、以下の観点から示唆を持ちます。
システム統合は業務効率化の最短ルートである
高齢ユーザー向けUI/UXは他業界でも応用可能
OMO(放送×EC)モデルは放送局の新収益源となりうる
在庫共有の自動化はEC全体の生産性を高める
7. 今後の展開とDX深化
統合システムを基盤に、BS日本は以下を構想しています。
マーケティングオートメーションの本格導入
放送番組とECデータをかけ合わせたROI分析
自社D2Cブランドによる直販強化
基幹系とECの統合が、さらなるDXの土台となっています。
総括
BS日本の事例は、「テレビ放送×EC統合」がいかに業務効率化と売上拡大を両立できるかを示した代表的成功例です。
業務工数90%削減
在庫管理の自動同期
UI/UX改善による顧客満足度向上
マーケティング高度化と売上成長
オンラインとオフラインが完全分断された状態から、統合プラットフォームに移行することで、事業全体の生産性が飛躍的に向上した好例と言えます。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK0164E0R00C21A3000000/




























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