ノーコード・ローコードが変えるEC構築:中小企業・自治体のデジタル化最前線
- 20121007mail
- 6月20日
- 読了時間: 3分
1. ノーコード・ローコード市場の成長と現状
2025年、日本国内のノーコード/ローコード開発市場は1,000億円を突破する見込みであり、これは2021年度比で2倍以上の拡大となります。CAGR(年平均成長率)は14.0%とされ、今後も中小企業・自治体を中心に普及が進むと予測されています。2024年時点で確認されているノーコード/ローコード開発プラットフォームは229種類にのぼり、業務アプリ、ECサイト、業務改善ツールなど幅広い用途に対応しています。
2. ノーコード・ローコード導入のメリットとコスト削減効果
2-1. 開発コスト・期間の削減
ノーコードやローコードを活用することで、従来のフルスクラッチ開発と比較して開発費用を30〜70%削減できると報告されています。ECサイト構築の費用相場は80万〜300万円、期間は2〜4ヶ月が一般的です。フルスクラッチ開発では、1,000万円以上・半年〜1年以上かかるケースもあり、大幅な差があります。
また、エンジニアの人件費削減効果も大きく、1人月あたり100万円超のコストを抑えられるケースがあります。運用フェーズでも改修や追加開発の内製化により、保守運用費やコミュニケーション工数が最適化されます。
2-2. 業務効率と柔軟性の向上
ノーコードツールはドラッグ&ドロップ操作やテンプレートが用意されており、非エンジニアでも短期間でサイトや業務アプリを構築できます。運用段階においても、レイアウト変更やデータ更新を容易に行えるため、保守の柔軟性も向上します。
3. 中小企業における導入事例と成果
3-1. 成功事例
中津家具(家具販売):Bubbleを用いてECサイトを刷新。問い合わせ数が回復し、外注管理・業務効率が大幅に改善。
製造業A社:PowerAppsによるERP内製化により、月額保守費を25万円→5万円に削減。生産効率も15%向上。
卸売業B社:Airtable導入で在庫管理を内製化し、月額28万円の運用コストを削減。過剰在庫も20%減。
その他事例:ローコードERPを活用した別企業では、コスト70%削減、業務効率3倍、障害対応時間90%短縮の実績。
3-2. 開発スピード
LIMNO社:ノーコードツール「Platio」で2ヶ月間に20以上のアプリを開発し、社内DXを促進。
CELF・サスケWorks導入企業:1,000社超が利用し、シフト管理・予算管理などの業務アプリを迅速に開発。
4. 自治体のデジタル化推進事例
4-1. 北九州市
全職員2,400人がノーコード研修を受講。2022年度には136の業務システムを内製化し、年間3万5,667時間、約1,000万円相当の業務効率改善を実現。保健所では新型コロナ陽性者管理をノーコード化し、支援職員が100人→15人に減少。
4-2. 下妻市(茨城県)
「ノーコード宣言シティ」を掲げ、議会答弁作成時間を1時間→10分に短縮。週1回の研修でノーコード人材を育成し、全庁的な生成AI活用体制を構築。
4-3. 岩見沢市(北海道)
民間IT事業者と連携し、タブレットとクラウドにより庁内業務のペーパーレス化を実現。住民からの問い合わせや日報管理が効率化され、職員の満足度も向上。
4-4. 宇都宮市(栃木県)
電子申請共通システムの導入で、問い合わせ件数が40%減、FAQ閲覧数が2.3倍、操作時間が63%短縮。
5. 今後の展望と課題
2025年時点でも47%の企業がノーコード/ローコードを未導入であり、主な課題は「人材不足」と「初期コスト」です。今後は、自治体や中小企業向けの研修・支援施策により普及が加速すると見込まれています。
また、Bubble、Shopify、BASE、STORES、kintone、PowerAppsなど、目的や業態に応じたプラットフォームの選択肢も広がっており、柔軟な導入が可能です。
6. まとめ
ノーコード・ローコードは、開発コストと期間の圧縮、業務効率化、柔軟な運用という多くのメリットを提供し、中小企業や自治体のDX推進において不可欠な存在となりつつあります。導入により、コスト最大70%削減、数万時間の業務時間削減、障害対応時間90%短縮など、定量的な成果も続々と報告されています。今後も、日本の行政・ビジネス現場における重要な基盤技術としての役割が期待されます。
Comments