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D2Cブランドの急成長とSNS活用:日本発デジタルD2Cの最前線

1. 日本D2C市場の成長と規模

日本国内のD2C(Direct to Consumer)市場は、2025年に約3兆円規模に達すると見込まれています。この成長には、デジタル技術の進展、SNSの普及、消費者の購買行動変化が大きく寄与しています。2023年度のBtoC-EC市場は約14.6兆円で、D2Cがその20〜25%を占めると推定されており、D2CモデルはEC業界の主要な柱となりつつあります。

背景には、ECプラットフォームや運営支援ツールの充実によって、個人・中小企業が容易にブランドを立ち上げ、D2Cビジネスに参入できる環境の整備が挙げられます。

2. SNS活用によるブランド成長の要因

SNSは、D2Cブランドにとって消費者と直接つながる重要なインフラです。2025年時点での主要SNS利用者数は、LINEが9,700万人、Instagramが6,600万人、X(旧Twitter)が6,700万人、TikTokが3,300万人と推計されています。

D2Cブランドは、InstagramやX、TikTokなどを通じて双方向のコミュニケーションを行い、顧客の声を商品企画やサービス改善に活かしています。特に、ブランドの世界観を伝える投稿やユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用が認知獲得に有効です。

主なSNS活用例:

  • 公式アカウント運用:ブランドストーリーやスタッフ紹介などを発信し、ファンとの接点を深める。

  • インフルエンサー起用:ターゲット層に影響力のある人物を起用し、話題性を創出。

  • ライブ配信:Instagramライブ等を通じて商品紹介や質疑応答を実施。

  • UGC活用:ユーザーの投稿やレビューを二次活用し、CVR向上に貢献する。中にはCVR1.8倍、売上3.7倍といった効果があったと企業発表されている事例もあります(第三者検証は困難ですが)。

3. 日本発D2Cブランドの成功事例

3-1. BASE FOOD

  • 自社ECを中心に「完全栄養食」のパン・パスタ等を展開

  • 2022年2月期売上高:55億4,575万円(有価証券報告書より)

  • 累計販売5,000万袋(2022年6月)

  • サブスク会員13.7万人、継続率93.2%(2022年8月)

  • SNSでユーザー参加型キャンペーンを展開

3-2. 17kg(イチナナキログラム)

  • 若年女性向け韓国系ファッションブランド

  • Instagramフォロワー約45万人(2025年時点、外部調査値より)

  • 急成長を遂げ、ラフォーレ原宿に出店

  • インフルエンサー起用と高頻度の商品追加が特徴

3-3. Mr. CHEESECAKE

  • 自社EC限定で販売され、「幻のチーズケーキ」としてSNSで話題

  • 限定販売・ストーリー性の高さで熱狂的なファンを獲得

3-4. Minimal

  • D2C型クラフトチョコレートブランド

  • こだわりの製法や新商品をInstagramで発信し、ファン層を拡大

3-5. PHOEBE BEAUTY UP(DINETTE)

  • コスメD2Cブランド。まつげ美容液などを販売

  • 企業発表では、UGC活用によりCVR1.8倍・売上3.7倍と報告

3-6. BOTANIST

  • 植物由来シャンプー・ボディケア製品のD2Cブランド

  • 累計販売数1.6億本突破(2023年時点)

4. D2Cブランドの業務効率化とデータ活用

D2Cブランドは、自社ECやSNSを通じて得られる顧客データを活用し、商品のパーソナライズやリピート促進に生かしています。また、AIによるレコメンドやCRMツールの導入により、少人数でも高効率な運営・カスタマーサポートを実現しています。

5. 今後の展望と課題

成長ドライバー:

  • AI・ビッグデータを活用したパーソナライズ

  • オムニチャネル展開

  • 海外市場への拡大

主な課題:

  • SNSアルゴリズムの変動による影響

  • ブランド差別化と顧客ロイヤルティの構築

  • サプライチェーンと物流最適化への対応

まとめ

日本のD2C市場は2025年に3兆円に達すると予測され、SNSと自社ECを中心に、ダイレクトでデータドリブンなビジネスが拡大しています。BASE FOODや17kg、Mr. CHEESECAKEなど、多くのブランドがSNS戦略やUGC活用により顧客とのエンゲージメントを深め、成長を遂げています。今後も、AI、CRM、パーソナライズ技術の進展とともに、D2Cブランドの可能性はさらに広がるでしょう。

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