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日本イーコマース学会設立にあたりまして

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2016年6月に経済産業省が公開した「電子商取引に関する市場調査」によると、2015年の日本のEC市場の規模は、13兆7,746億円(前年比7.6%増)となっています。1998年にわずか650億円程度だった市場規模がわずか17年ほどで20倍以上にも急拡大しています。さらに2016年11月に野村総合研究所が国内EC市場規模の推移に関して、2022年に26兆円までに拡大すると予測しています。今後わずか5年程度でさらに市場規模が約2倍に拡大するということであり、まさに爆発的な成長市場であると言えるでしょう。

 

90年代後半に出現したインターネットとほぼ同時に始まったEC市場は、インターネットの普及とともに成長し、また、様々な技術革新とともに発展してきました。それらの技術とは、ブロードバンドやワイヤレスなどの通信インフラ系技術、物流インフラ系技術、検索エンジン技術、ブログやSNS、動画共有サイトなどのCGM(消費者生成メディア)の普及と進化、スマートホンやタブレットなど携帯情報端末の普及と進化、また、これらを総合したマーケティング技術が含まれます。

さらに昨今は技術革新のスピードは加速度的に上がっており、EC市場環境を激変させ得る新しい技術の普及が見込まれています。それらの技術とは、ビッグデータ活用、AI(人工知能)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、音声認識デバイスなどが含まれます。このようにEC市場環境はますます高度化、複雑化する傾向にあるのです。

 

しかしながら、前述の通り、このように高度化、複雑化しながらも急成長を続けるEC市場において、関連する技術の研究は幅広い分野に分散しているため、過去の成果や知見が生産的に蓄積されることはなく、むしろ、ほとんどの市場関係者は次々に現れる新技術や市場環境の変化に翻弄され続けています。このような混沌とした市場環境の中で科学的、学術的を謳い文句にした詐欺的なサービスも横行する事態となっています。

 

以上のような問題意識に基づき、イーコマースに関連する学術的知見を共有し、イーコマースの健全なる発展に寄与するために、日本イーコマース学会を設立いたします。
EC市場に関連する課題・問題は多岐に渡ります。IT(情報技術)、ロジスティックス(物流)、マーケティング、HRM(人的資源管理)、経営全般において、基礎的・応用的研究について、研究者間のみならず、研究者とEC関連企業、EC関連企業間においても意見交換や蓄積された知見の共有ができる場としての学会を構築し、これからの日本のEC市場の健全な成長の一助になることを目指してまいります。

 

2017年9月吉日 一般社団法人 日本イーコマース学会 役員一同

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