第8章 顧客データをどう活かすか

JASEC 日本イーコマース学会

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第8章 顧客データをどう活かすか

第8章 顧客データをどう活かすか

  • 4月14日
  • 読了時間: 5分

 OMOの本質は、「チャネルをつなぐこと」ではなく、「顧客データをどのように活用し、店舗での体験価値を高めるか」にある。購買履歴や在庫検索、来店頻度といったデータを、在庫配置や接客、クーポン施策に還元してはじめて、OMOは“体験設計”として機能する。本章では、マツキヨココカラ&カンパニーやツルハホールディングスといったドラッグストア、カインズやDCMホールディングスといったホームセンターの取り組みをもとに、顧客データの具体的な活用方法を整理する。



① マツキヨココカラの「アプリデータ→店舗接客」

 モデルマツキヨココカラでは、アプリを中心に顧客データを蓄積し、それを店舗運営に反映している。アプリ上では、在庫検索、ポイント、クーポン、購買履歴、ヘルスケア関連情報などが統合されており、顧客ごとの行動傾向を把握できる仕組みが整っている。

 これらのデータは、単なるマーケティング分析にとどまらず、店舗での接客や売場づくりに活用されている。たとえば、検索頻度の高い商品は売場での露出を高め、特定カテゴリへの関心が高い顧客に対しては、店舗スタッフが補足説明や関連商品の提案を行うといった運用が行われている。

 このように、オンライン上の行動データを店舗接客に反映することで、「事前に理解された状態での接客」が実現されている。



② ツルハホールディングスの「薬・サプリ・日用品」

 統合データツルハホールディングスは、調剤、日用品、食品、健康食品といった複数カテゴリのデータを横断的に活用している。アプリでは、処方せん受付、購買履歴、ポイント、クーポンなどが一体化されており、顧客の生活全体を捉える設計となっている。

 このデータは、店舗の動線設計や売場構成に反映されている。たとえば、医薬品と関連性の高いサプリメントや健康食品を近接配置し、「一括購入」を促進する設計が行われている。また、調剤をきっかけとした来店が、日用品や食品の追加購入につながるような構造も意識されている。

  結果として、顧客の来店頻度や購買カテゴリー数の増加につながり、「生活単位」での購買行動が強化されている。



③ サンドラッグの「在庫検索→店舗接客」

 連携サンドラッグでは、アプリを通じた在庫検索やクーポン利用のデータを、店舗の接客と売場づくりに活用している。来店前の在庫確認行動は、購買意欲の高い顧客のシグナルと捉えられ、そのデータをもとに重点商品の陳列や接客強化が行われている。

 また、アプリを通じて取得した情報は、店舗スタッフの接客にも活用されており、顧客の関心領域に応じた提案が行われている。これにより、オンラインと店舗が分断されることなく、「一貫した顧客体験」が実現されている。



④ コスモス薬品の「地域密着データ」

 活用コスモス薬品は、店舗網の広さを活かし、地域ごとの需要データを活用している。オンラインでは、季節性の疾患情報や健康関連情報を地域単位で発信し、来店のきっかけをつくる。

店舗では、そのデータをもとに在庫配置や売場構成を調整し、地域のニーズに応じた品揃えを実現している。たとえば、季節性の症状に対応する商品や健康食品を重点的に配置することで、来店時の購買効率を高めている。

 このように、全国一律ではなく「地域単位」でデータを活用することが、同社の特徴である。



⑤ カインズの「プロジェクト購買データ」

 活用ホームセンターでは、カインズが顧客データ活用の代表例といえる。同社は、オンラインストアでの在庫検索や購買履歴を分析し、DIY関連商品の提案に活用している。

特に、複数の商品を組み合わせる「プロジェクト購買」に着目し、関連商品のセット提案や売場設計を行っている。オンラインでの検索行動をもとに、店舗では追加資材の提案や施工アドバイスが行われ、購買単価の向上につながっている。

 ここでは、データは単なる需要予測ではなく、「提案の起点」として機能している。



⑥ DCMホールディングスの「売場再設計」へのデータ活用

 DCMホールディングスも、オンラインと店舗のデータを統合し、売場設計に反映している。オンライン検索データや店舗販売データをもとに、需要の高い商品群を再配置し、売場の効率化を進めている。

 特に、DIYや防災といったカテゴリでは、検索頻度の高い商品を中心に売場を再構成し、顧客が必要な商品にアクセスしやすい環境を整えている。また、スタッフの接客も、これらのデータに基づいて強化されている。

 これにより、「どの商品をどの順序で見せるか」という売場設計そのものが、データドリブンで最適化されている。



⑦ まとめ:OMOは「データと接客」の融合

 ドラッグストアとホームセンターの双方に共通するのは、OMOが単なるチャネル統合ではなく、「顧客データを店舗体験に還元する仕組み」であるという点である。

 ドラッグストアでは、来店頻度や購買履歴をもとに、リピート購買を前提とした接客や売場設計が行われている。一方、ホームセンターでは、検索履歴や購買データをもとに、プロジェクト単位の提案や売場再設計が進められている。

 OMOの成否は、データを「分析すること」ではなく、「接客・在庫・売場・施策にどう反映するか」によって決まる。顧客データを実際の店舗体験に結びつけることこそが、OMOの価値を最大化する鍵となる。



参考文献

■ ドラッグストア:データ活用・アプリ・顧客基盤

マツキヨココカラ&カンパニー

※会員基盤、データ活用、アプリ戦略、LTV向上施策

ツルハホールディングス

公式サイト(事業・DX・アプリ)https://www.tsuruha-hd.com/company/group/groupinfo/

※調剤データ・購買データ統合、顧客接点設計

サンドラッグ

アプリ関連リリースhttps://www.sundrug.co.jp/news/post-9452

※デジタル接客、データ活用、顧客理解

コスモス薬品

※地域別需要、店舗運営、健康情報活用

■ ホームセンター:データ活用・OMO・売場設計

カインズ

※DIY提案、データ活用型売場、生活提案型小売

DCMホールディングス

※顧客データ活用、PB戦略、売場再設計、LTV志向

■ OMO・データ活用・顧客体験

経済産業省

電子商取引に関する市場調査https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tyoukei/result-2.html

※EC化率、オンライン行動、OMO背景

電通デジタル

※データ活用による顧客体験向上、マーケティング基盤

マーケティング・DX関連(LTV視点)

※LTV、顧客データ活用、リテールDX事例

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