模擬「裁判」を 大驛 潤 研究室のゼミ生で体験してきました

2018/12/12

  裁判教室のイメージ

 

 当「大驛 潤 研究室」では、研究の一環として某大学法学部の模擬「裁判」を、研究室のゼミ生と体験してきました。意図としては、個人情報漏洩や契約問題など、今後のデジタル社会における経営の現場で起こりうる「リスク」「トラブル」「対処方法」を擬似的に経験することで、より深く関連分野を学んでもらいたいという考えからです。

 

概要
 今回の模擬「裁判」の事案は、次のようなケースでした。2018年、企業の法人営業担当の40代女性社員が、取引先などの個人情報9,900件が記録されたUSBメモリーを紛失しました。紛失したUSBメモリーには、営業先の企業名・担当者の氏名や住所・連絡先・法人営業データは当然のこと、その上、過去社員が勤務していた2つの企業名やその住所・法人営業データも記録されていた事案です。これによる損害は、およそ数千万円に及ぶと考えられています。

 

内規 
 外出先で、女性社員はUSBメモリーを使用した後に、紛失しました。USBメモリーは女性社員の私物ではなく、企業で管理して社員に配布していたものです。セキュリティー機能は付与していたにもかかわらず、女性社員がその設定をしておらず、万が一紛失した場合、取得した人が容易に使用できる状態でした。なお企業は、内規でUSBメモリーに個人情報を記録することを禁じていました。しかしながら女性社員は内規を無視して、USBメモリーを使用していたものと見られます。

 

議論
 実際の裁判においては、検察側が立証責任を負いますが、被告人に不利な内容について被告人側が合理的な疑いを提示できた場合には被告人に対して有利に(=検察側にとっては不利に)事実認定をします。検察側が挙証責任を負う範囲に関しては、構成要件該当事実のほかに、違法性・有責性・処罰条件・刑の加重減免・量刑を基礎付ける事実も包含すると理解されるのが常です。つまり、かりに、殺人罪の構成要件該当事実について、合理的な疑いを超える証明がなされていたとしても、正当防衛の否定に合理的な疑いがある場合は無罪となる理解です。法学部の模擬「裁判」では、 2手に分かれて議論されましたが、エビデンスと論理性を踏まえて、議論が白熱しました。近年の個人情報漏洩の状況だけでなく、実際、近年の企業の被害実例を考えると、これは興味深い事案です。急増する日本の企業のWEBサイト改ざん等、外部要因による情報漏洩ではなく、個人の要因および、企業内部の環境整備の是非が問われる事案です。日本企業における経営の現場で起こりうる「リスク」と「対処方法」を擬似的に経験することで、より深く、経営の関連分野を深耕する必要があります。

今回はその第一回ということで、大学での模擬裁判の見学でしたが、今後は、実際の現場に行くのも良い事と考えています。

 

by 東京理科大学 教授 大驛 潤

 

 

大驛 潤(おおえき じゅん) 経歴

 

メリーランド大学卒業、東京大学大学院博士後期課程退学(単位取得)。バブソン大学大学院アントレプレナープログラム修了。東京大学助手、九州大学大学院特任准教授、スタンフォード大学大学院客員准教授を経て、現在、東京理科大学経営学部・大学院経営学研究科教授。経済学博士、税理士。(2019/03現在)

 

小学校5年生12月からサッカーをはじめ、高校1年生でセンターフォワードとして高校選手権全国大会出場。交通事故後、東京理科大学サッカー部監督を経て、現在、東京理科大学サッカー部部長。理科大監督・部長合わせて指導約10年。

 

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