地域別物流戦略:日本全国をカバーする最適なネットワーク構築
- あゆみ 佐藤
- 11月4日
- 読了時間: 4分
海外メーカーが日本のEC市場に本格的に参入する際、全国の消費者へ安定かつ迅速に商品を届ける体制を整備することは、越境ECに頼るだけでは実現できません。 国内物流大手や地域物流事業者と連携し、効率的かつ持続可能な配送ネットワークを構築するローカライズ戦略を解説します。
1. 国内大手3社のネットワーク活用
日本便取扱個数の約9割を占めるヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の大手3社を活用することで、全国3万を超える市町村への配送網をカバーできます。
・ヤマト運輸は全国に約2,900のラストマイル集配拠点と80のターミナルを保有し、集配車両46,000台で日本の100%カバー率を実現しています。ヤマトHD・佐川急便は全国429の営業所を核に、大型中継拠点とネットワークを構築しています。北海道から沖縄まで365日体制で配達可能です。未来ショップ・日本郵便は全国24,000カ所の郵便局を相談、ポスト投函可能な機能「ゆうパケット」や対面型の「ゆうパック」で小口・多頻度配送に対応。 転居転送サービスを含む独自の付加価値がEC事業者に好評です。エクノミカタ
これら大手の配信契約を締結し、国内の強みを持っていることで、離島や過疎地へも届くネットワークの拠点が整います。
2. 幹線輸送の最適化:共同輸配送プラットフォーム
長距離輸送(幹線)と末端集配の効率化は輸送コストと納期を左右します。ヤマトHDは2024年5月に共同輸配送のオープンプラットフォーム会社「Sustainable Shared Transport(SST)」を設立し、荷主企業と複数の物流事業者をデジタルでマッチングする仕組みを開始しました。ヤマトHD
・荷主出荷情報と物流事業者運行計画を連携し、標準パレットやセミトレーラーを用いた高積載輸送で積載率を向上。・東京-名古屋-大阪間で2025年1月に1日80線便、体制省人化率65%、CO₂排出量42%削減を目標にネットワークを拡大。・荷主はシステム上で最適輸送計画を選択でき、物流事業者は荷物確保により稼働率向上とドライバー負担軽減を実現します。
これにより幹線輸送コストを最大20%削減し、末端集合配と連携した全体物流最適化が可能になります。
3. 地域密着型ビジネスとの連携
地方の中小規模流事業者や自治体と連携を結び、地域特性に合わせた「ラストワンマイル」を補完する手法も効果的です。
・佐川急便は「SAGAWAタウンサポート」として、各地自治体と地域活性化協定を締結し、過疎地貨客混載や観光客向け手ぶら観光サービスを展開します。これにより、地域物流基盤の維持と新たな収益機会を両立させています。ニュース・全但バス×ヤマト運輸の「客貨混載」では、兵庫県豊岡市・神鍋高原中間路線バスで宅急便を輸送し、ドライバー拘束時間短縮とバス路線維持を同時に実現しました。ゼンタンバス・日本郵便は郵便配達員のバイクネットワークを協議、メール便・ゆうパケットを一部バイク輸送に切り替え、過疎地域の早期配達に貢献。転居届による1年間の転送サービスで、EC事業者の再発送コストを大幅に削減しています。エクノミカタ
海外メーカーはこれら地域事業者との連携によって、全国津々浦々への配送を自社ストリーム網のように利用できます。
4. 物流拠点・倉庫戦略
全国拠点展開による「出荷拠点の最適配置」でリードタイムを短縮し、コストを削減します。
・日本郵便の物流ソリューションセンター(LSC)は全国25拠点を構え、EC専用口小多頻度対応倉庫として稼働しています。アパレルやコスメなどの小型商材の当日集荷・翌日出荷を実現しています。jp-capital・Eコマース大手はヤマト運輸の保管・発送機能を一体化した「ネコポスワンストップ」や佐川急便の3PLセンターと契約し、顧客近隣からの発送によって平均納期を国内平均2.5日→1.2日に短縮した事例があります。
これらの拠点戦略により、離島や山間部を含む全国エリアで「翌日配送」「時間帯指定配送」を実現できます。
5. PDCAによる継続的な改善
ネットワーク構築後は、KPIと流動化ツールを活用したPDCAで品質を向上させます。
配送品質指標(遅延率・破損率)を月次で管理
ヒートマップを用いたルート最適化や配送時間帯シフトの最適化
顧客アンケートで受取体験を評価し、集配時間帯の調整・再配達回数削減策を実行
環境負荷指標(CO₂排出・EV車両比率)を設定し、持続可能なエコロジーネットワークを構築する
日本全国をカバーする配送ネットワークは、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便の大手3社との連携、共同輸配送プラットフォーム活用、地域物流事業者との協業、拠点戦略、そしてPDCAによる品質向上の位五一体で実現します。
ヤマトホールディングス統合レポート2024ヤマトHD
Sustainable Shared Transport(SST)設立リリース – ヤマトホールディングスヤマトHD
ヤマト運輸×全但バス「客貨混載」開始 – 全但バスゼンタンバス
日本郵便株式会社インタビュー:ECストリームと郵便ネットワークエクノミカタ
佐川急便地域活性化含む連携協定 – 北海道本別町ニュース
https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/annualreport/pdf/j_ir2024_00_A3.pdf
https://www.future-shop.jp/magazine/courier-delivery-courier-fee
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2024/newsrelease_20240521_2.html
https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/annualreport/pdf/j_ir2020_02_00.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC211WX0R20C24A5000000/
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10316453685
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2406/04/news039.html
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2024/newsrelease_20250127_1.html
https://www2.sagawa-exp.co.jp/uploads/resources/newsrelease/2018/pdf/20180402.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC052QQ0V00C25A8000000/
https://www2.sagawa-exp.co.jp/newsrelease/detail/2024/0327_2221.html
https://www.post.japanpost.jp/bizpost/column/logistics14/ec-logistics/
https://www.post.japanpost.jp/bizpost/strength/overseas/index.html




























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